夜明けのシンフォニー
薄紫の雲の隙間
遠方から差し込む光
冷たい時刻に傾ける耳には
本の一瞬だけ羽音が交ざる
まだ薄暗い夜明けに
チェンバロが静かに響いていく
夢色の蝶に気付かぬまま
追いかけて辿り着くそこは
甘い香りを漂わせた楽園
澄んだソプラノで小鳥は歌う
それはリスト
なめらかな甘い旋律
重なる音は朝露に消え
また静かにチェンバロは鳴り響く
そして、リストは遠ざかり
楽園は知らぬ間に幕を降ろしていく
オーロラ姫が眠りから覚ます日は
遠い朝靄の中
楽園に導く蝶は
いずれ月夜に飛び去りぬ
また知らずに追いかけては
楽園を求めて眠るのであろう
written by 月ノ音 姫瑠
コメントを残す