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弱く儚い獣の血 いつ幻か現に消えぬ 胡蝶の夢にも喩えねば 獣も世には現れぬ 見せた幻美しきかな 酒池肉林の宴を差し置いて 血溜まりの紅は花魁に 吼えるその声天の空 強くあれとの一声に 怯えた姿は一輪の花 獣愛しき星々の 煌きすでにほど遠く 月の明かりのすぐ下で 鳴き声あげては 眠りに就け...
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この手から生み出されし 言の葉の一片一片 欲の塊であるならば 零れていく音は 静寂に響く 淋しきラプソディ 指で言葉は踊り 口で歌は歌われる 差し出す手のひらは 不器用そのもの 上手く踊れぬ踊りと歌で 今宵はルージュに輝く葡萄酒を 屋烏の愛に狂い死ぬ 快楽の頂にあるものが 救済そのものだと気づいた刻 塞がった傷跡が...
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愛される悦びは痛みと同じ 私の青白い花は 永遠を誓って滅んでいく それが私の名前 青白い花 死を誘惑する綺麗な花 目を覚ますと痛みの雨 幸せな鮮血の雨 黒い翼のあなたが洩らす 愛情を孕む歌声の本質は あなた自身の欲望でしょう 突き刺さるナイフは 痛みと悲しみで震えていた あなたはきっと気づ...
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胸が痛む月夜 涙で言葉は塞がり 星屑が降り止まない 愛しさで空が見えない 顔を上げれば 涙も言葉も零れ落ちそうで 暗闇の中に私はいて 口ずさんだのは歌だけで 伸ばしたい手は 止まらない涙を押さえていた 静かに奏でるメロディーは 私の背に黒い羽根を宿らせ それが私の名前になった からすのお...
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螺旋を回さなければ 時間は奪われ 手のひらに乗せた一つの意味は いずれ零れ落ちてしまうのでしょう 一つの意味 失くしてしまったら コッペリアのように 全てを失くしてしまうのでしょう 意味にすがらなければ 両手を切り落とされたことと同じ 指先で言葉を紡ぐことのできない苦痛と 訪れてしまう幻視痛の...
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鼓動の数だけ想って果てた 幾億の鼓動を耳にしては 愚かな記憶に瞳(め)を閉じれば 夕焼けが綺麗に映える あの鼓動の耳鳴りに 夕べの鼓動を重ねて 過ちの日々を一つ一つ 煌く星屑に変えて また繰り返す記憶の向こう 忘れたのは貴方の夢の色 棄て去ったのは過去の貴方 着飾るのは夕焼けの色 脱ぎ捨て...
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言の葉を紡ぐ者も 音色で妖しを誘った者も 一つの肉を貪り喰い尽した者も 酷い耳鳴りの不協和音を毎夜 耳にしのた打ち回る 語る口は一つにして答えも一つ 生者の明日を継ぐ者は 枷と鎖を解きつつ 悪戯に愛を唱えては それを不協和音によって 生者に選択肢を与えざる者 死を招くのは我等 杭を打たれた...
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私の手のひらには お菓子がいっぱい 優しく包まれる 甘い夢心地 きらきら瞬く 夜空の向こう 向こう側にあるものは すてきな物 愛されたぬくもり 愛していたほほえみ 言葉のない愛情 求めつづけた居場所 私の手のひらには お菓子がいっぱい 甘く儚く 優雅に脆く 幸せを閉じこめた 魔法の香り 夢見る心は 目に映る...
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虚空上の理論に於いて 個を収束し天文学的数字を並べるならば 在りし個の禍々しい性質は 一と成りてまた個を成すのだろう しかしながら 一をどれだけ保とうと その個は数多にある一であるという真実 一という個は 天文学的数字の一を収束しただけの存在にすぎない それに手を伸ばし 確率論さえ吐き出した個は ...
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暖かな木漏れ日の中 ハルモニアを奏でるように 空に鳥は囀り 花はゆっくりと咲き綻ぶ 静かな朝 木漏れ日はカーテンのように 鼓動に朝を告げる 雫に濡れた夜も 灯りを抱きしめた宵も 暗がりに怯えた闇も 全てをなぎ払うように それは暖かな旋律を奏で 全てを包みこむ 細やかな光の兆し 消えていく月の色 月は空の蒼に染まり ...
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