意味を乗せた手のひら
螺旋を回さなければ
時間は奪われ
手のひらに乗せた一つの意味は
いずれ零れ落ちてしまうのでしょう
一つの意味
失くしてしまったら
コッペリアのように
全てを失くしてしまうのでしょう
意味にすがらなければ
両手を切り落とされたことと同じ
指先で言葉を紡ぐことのできない苦痛と
訪れてしまう幻視痛の恐怖の中
真っ赤な血飛沫を浴びながら
冷たい土の中に埋もれてしまうのでしょう
死に満ちた瞳に見える未来は
気色悪い幻覚
聴こえる歌もまた同じ
眩暈を招くような幻聴
意味を乗せた手のひらのみが
現実を掴み取れる唯一の道具
両手を失くした世界
それは死んでしまったコッペリア
時間だけが奪われ、過ぎ去った世界
最後に口にする言葉は
悼みを孕んだ欲求
written by 月ノ音 姫瑠
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