幸福姫
一
つ
お渡りになります赤い橋は
月光を伴う朝日に遠からず
崩れゆく石段を踏み外しては
また一つ 前世へと引き摺られて行くのでしょう
二
つ
夜の明けた朝は病の象徴
大量のお菓子を頬張りながら
結晶化する社会の時を
お部屋に飾っては
しくしく笑っているのでしょう
三
つ
雁の音が恋しさに
血に染まるお空に浮かぶ
浮遊する自我に囚われながら
一人 空に染まることを望むのでしょう
四
つ
輪廻を徘徊する化け物は嘔吐
捕らえられぬ影を新月に探す
鬼ごっこの果てに
赤い橋は増えてしまった
流れる水は澄んだ赤
息の出来ぬ苦しみに耐え兼ねて
幸福を求めて
貴方はお渡りになるのでしょう
幸福とは如何に
石を積む子供に泣きじゃくりながら
世を憐れむことで御座いましょうか
眼球で捕らえられぬ幸福に
人は翻弄されながら
世を去る事が出来れば
幸福でありますでしょうか
幼子には無知に等しき
奈落に沈んだ者の境地
両手を縛り上げて
埋めてしまえば苦しみなど遺らぬでしょう
幸せとは如何に
written by 月ノ音 姫瑠
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