烙印
沈むように消える思慮
焼きつく茨は
女神の残した愛憎
思慮の行末を見守る者は
ただ一人として現れず
焼けつく茨は
透きとおるように鮮やかで
賑わう人々とは
相違しながら静かに燃ゆる
死に直結せず
ただ燃え盛る炎をこの身に受けては
哀しみに浸りながら
紅に染めては
笑ってみせた
幾年も重ねる過ちを嘆いては
何も残らぬ空に沈む
薄紅色の別れを嬉々した過去は
愚かな幻想を抱いた始まりだったのであろう
女神とて愚者
過ちを嘆いては臙脂に染まる
心の奥底で滴り笑う死神でさえ
己の鎌を首に宛がいながら
茨が燃ゆる様を
憂いながら見届ける
己の過ちを懺悔する日々に
鴉の烙印は刻まれる
美しきを求める痛みは
鍾愛すべき烙印
その罪こそ
愛惜に値する女神と死神
如何にして茨は解き放たれたるか
written by 月ノ音 姫瑠
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