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名も無き物語

憎き肉片を焼き殺したところで
紅い眼をした女の憎悪は止まず
巨大な鎌を振りかざし
笑いながら血飛沫を浴びては
滅びの世界を望むのでしょう

背には鴉の翼を持ち
無造作に伸ばした漆黒の髪は
緩やかに片眼を被う
ボロ布で出来た黒きドレスは
赤黒い染みが浮かび
ドレスとは思えぬほどに破れている

『貴女はまだいらっしゃっていたのね』

淡い色彩の乙女は
女には眩しすぎた

それは、過去の幻影が詰まった魂
その白い肌は
殺し続けた少女によく似ていた

全てを取り戻しつつある乙女
鴉の女は片眼で微笑した

―姿を消す乙女…
 …鎌を振りかざす女―

二人の目の前に広がる死体
満たされる二人の欲望

『愛してる』
『……ありがとう』

果たして
女と乙女の行く末は
事実が照らす女の姿とは

乙女の拒絶と恨みは
女の殺意を呼び覚ます
むしろ、乙女の拒絶と恨みこそ
女の存在そのもの

人の真相心理の奥底で
塊が生まれた
人は醜いモノを塊にしまい込む
醜い感情そのものが
女の正体

乙女が憎しみを抱けば
女と二人で破壊の路を探り
罪を犯していく

『貴女が私の感情ならば、貴女は私』
『ならば、この鎌は貴女のもの』

二つのペルソナを持つ彼女
心に鎌を
躰に言葉を
美しく殺していく彼女の正体こそ
如何にして暴かれていくのであろうか…

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