真実の獣
人の一番恐れるソレを
目の前に置きながら
砕けそうなペルソナを
自分自身を誤魔化すように
顔面に押し当てる
優しい笑みを浮かべているにも関わらず
上手く進まぬ時計の針と
目の前をちらつかせる恐ろしいソレは
愛しさと心を通わすごとに
ゆっくりと動き出す
それは、ペルソナが音を立てて砕けていくような
虚しく乾いた
荒々しさを含む
抑制の効かない不協和音
ペルソナを無くした後は
恐れていたソレに翻弄されるままに
抑制の効かなくなったソコに現れたのは
おぞましい獣の貌をした真実
真実こそ恐怖であり
ペルソナを砕きいく牙である
残されたのは
真実という獣に喰われた愛しさと
残骸が響かせる後悔の細波
獣に喰われた愛しさは
嘘に塗り替えられた
卑しき欲情
それ故に、後悔の海は深く蒼い
細波の向こう側
そこに沈む紅蓮の太陽を追いかけた残骸は
己の形相すら分からぬまま
冷たい腐敗の道を辿る
悲しみの真実は
残骸にしか分からぬ戒め
沈みいく底に
冷たい叫びは届いたのであろうか
悲しみの行き着く先は
衝動のように繰り返す
止まない嵐
嵐は残骸の後悔の叫び
永遠に叫び続ける
愛しき者への濡れた言霊
written by 月ノ音 姫瑠
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